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歴史にifを

 

 

 

私はビクトリア朝時代に行き、現代のシャープペンシルを持ち込んだ。シャープペンシルを使って絵を描き始めてみると、現地人は驚いた。19世紀のイギリスではシャープペンシルは発明されていたが、当時のシャープペンシルはセルロイド製で繰り出し式であった。ノックして芯を出すという構造や、シャープペンシルの本体の素材である現代の固いプラスチックやアルミにも衝撃を受けていたのだ。

 

さらに私は別のタイプのシャープペンシルも見せることにした。サイドノックのタイプ、振って芯を出すタイプ、ペンを折って芯を出すタイプである。当時のシャーペプペンシルでは絶対に出来ないことであり、百年ほどの発明、アイディアが詰まっている。現地人はこれらのシャープペンシルの便利さにかなり興味を示さないわけがなかった。芯が出ることを不思議がって、子供のように芯を出すことを何度も試していた。

 

私はこの時代にこれらのシャープペンシルを残して、ビクトリア朝時代が終わったころの時代に移動してみた。人が何かを書くときはシャープペンシルが使われるようになっており、現代で使われているもののように丈夫で様々なタイプのシャープペンシルが普及していた。さらには、プラスチックやアルミなどの残したシャープペンシルに使われていた素材も日常生活で使われるようになっており、現実のその時代よりも技術の進歩が早まっていた。プラスチック容器やアルミ缶などが作られて広く広まって、ヴィクトリア朝の文化がなかったことになってしまった。

 

 

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SFには「if」を扱った作品が多く存在する。過去のことは、現代での発想によって自由に描くことができ、人々の空想を広げ面白くする。そして、現代のモノを過去に持ち込んで空想することによって、現代のモノが今どのような影響を与えて「現代」を創っているのかということを認識させられる。そこから、新たなモノを作るヒントや問題の発見に繋げることができるだろう。

 

Report - 10/8(Tue)

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