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Report - 4/30(Tue)

性差逆転

 

 

 

「女・信長」

 

主人公の性別が逆だったらどうなるかという問題を考えてみたときに、最初に考えた物語は戦国武将が女性だったらという設定である。

 

戦国武将といえば、上杉謙信のように女性説がある例もあるが、たいてい屈強な男性を思い浮かべるものである。これが女性だったらどうなるだろうか。戦国武将のなかでも、際立って気性の荒い豪傑として、そしてまた戦国時代のカリスマとして描かれることの多い織田信長を例として考えてみた

 

2013年4月5日・6日にフジテレビで、実は織田信長は女だったという仮説のもとにした戦国物語「女・信長」がテレビドラマ化して放送された。ストーリーは父信秀の命により、女でありながら嫡男として育ち、家督を継いだ織田信長が女性ならではの観点で、大胆な人材登用、新たな戦術の採用、楽市楽座といった新しい政策を展開していく。それでも自分が女性であることは隠し、男・信長として生きることに疲弊した信長に見かねた真相を知る明智光秀が本能寺の変で一芝居打ち、信長を殺すのではなく、ただの女として逃がしてともに生き伸びて幸せになるというものである。実際、信長には妻子もいて、女性だったという説はきわめて信憑性は低い。その中で信長が女性だとして進めていくうえで、信長が女性でなければできなかったことはなんだろうか。

 

まず、さまざまな信長の有名な政策が女性ならではの発想で生まれたとするものである。楽市楽座や関所の撤廃、足軽出身の木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)の登用といった能力主義による人材登用、南蛮文化への興味といったものが女性観点から世の中の平和と繁栄を思ってのことだったのかもしれない。そしてこの「女・信長」ならではのストーリーである本能寺の変での出来事だが、男女逆転していなければ起こり得ないことであるのは間違いない。ほかにも浅井長政と恋に落ちて浅井家との絆を深める描写もあってように、異性であるが故の武将同士の同盟なども考えられる。

 

以上に挙げたような例が、織田信長が男ではなく女であったら起こりうる事例である。男尊女卑で、女性の活躍の場が限られていた戦国の時代だからこそ、女性の声が国を治めるものに届かない当時では考えられないことが起こる可能性が広がり、より革新的なことを成し遂げられたのかもしれないと思う。

 

 

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この作品のように性差逆転を行うことによって、女性の立場や権利について考えさせられるSFも多い。これらの作品には、フェミニズムの考えが隠されていると言えるであろう。「if」を扱う作品には、このように過去を通じて現代の問題を訴える意味があると認識させられた。

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