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Report - 6/18,6/25,7/9(Tue)

共同体と疎外

 

 

 

 

私たちは、共同体と疎外をめぐる問題を抽出する作品としてTBSで放送された金曜ドラマ『夜行観覧車』を取り上げた。

 

 

・ドラマの内容

 

主人公の家族が背伸びして誰もが憧れる高級住宅街に住んだが、周りの金持ちに貧乏だと見下され、いじめを受け、疎外され続けたという話であった。しかし、話が進み、向かいに住んでいた恵まれた家族で殺人事件が起こり、疎外される標的が向かいの家族に移った。そして、疎外が激化していく中で、疎外を先導していた住宅街のリーダーに住宅街の人々は愛想尽かし、しまいにはリーダー自身が疎外されることになる。

 

 

・考察

 

まず、なぜこのように疎外の連鎖が生まれてしまったのかを考察した。

主人公の家族が疎外されたことについては、社会的地位の低い人が社会的地位の高い共同体に入ろうとしてしまったことに始まる。向かいの家族と住宅街のリーダーが疎外されたことについては、共同体の中で異常と考えられる行動をとったという共通することが原因として挙げられる。

 

次に、これらから問題点を抽出し、解決策を考えた。

 

社会的地位の低い人が社会的地位の高い共同体に入ったために疎外されたことから、社会的地位の高い人が人を収入面だけを見て評価していることがわかる。これは社会的地位の低い人から見れば問題である。

 

これの解決策としては、社会的地位の高い人に人を収入面だけで評価するのでなく、人間性なども見るようにしてもらうことが挙げられる。しかし、社会的地位の高い人から見れば、社会的地位の低い人が共同体に入ってきたこと自体が問題とも捉えられる。社会的地位の高い人だけで共同体を形成したいのに社会的地位の低い人が入ってきたら拒絶してしまうことも仕方ないことかもしれない。この観点から見た場合の解決策として、社会的地位の低い人が空気を読んで共同体に入らないことが挙げられた。

 

あとの二つである向かいの家族と住宅街のリーダーの疎外については、共同体の中で異常と考えられる行動をとったということが問題であって、疎外されること自体は仕方のないことだと考えられた。

 

この解決策は、共同体の中で異常なこと、目立つことをしないことが挙げられた。この考えから、主人公の家族が疎外されたことにも、向かいの家族と住宅街のリーダーの疎外に通じる共通点があるのではないかと考えた。社会的地位の高い人のみで形成される共同体の中に、共同体の中では異常とされる社会的地位の低い家族があるという状況である。

 

やはり、単一な共同体の中で異常なものがあると、異常なものは疎外される。「出る杭は打たれる」ということわざのような日本の性質であると感じた。疎外されることを避ける方法としては、空気を読むこと、周囲と合わせることしかない。共同体が自分と合わない、周りと合わせられないと感じるのなら、潔く去ることが重要であると私たちは結論付けた。

 

 

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SFなどの物語には、このように現代の問題が隠されている。今回の物語では、ある意味「日本の文化」について取り上げられていた。普段は気づかない物事の本質について考えさせらるのがSFなのである。

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